設立の経緯は?
会社設立前はコンサル系のSIerの会社の営業をやっていましたが、会社の意に反して顧客サポートに執念を燃やしていました。私自身、一度お客様になってくださった企業を大切にしたい気持ちが強かったのです。無論、SI会社としてはサポートも大事だけど、新規顧客の獲得も命題です。気持ちはわかりますが、両方を納得行く状態にするには時間がどれだけあっても足りませんでした。 そこで考えたのが、やはり積み上げ型のビジネスモデルでないと、顧客との信頼関係を長く続けていくためには厳しいのではないかということ。SIerの仕事の仕方が続けられるイメージを持てなかったんですね。 さらに、ちょうど時代が変わっている雰囲気がありました。時は1990年台前半、「アメリカでITバブルというのが起こっているらしい」と聞こえてくるような時代です。 インターネットというものが商業化されれば、我々の生活が大きく変わり、新しい産業が生まれるに違いない。知人から聞いた話はまだ漠然としたものでしたが、そんな世界にワクワクしていました。 こうした話が一般的にされるよりだいぶ前の話でしたから、自社で提案しても話をまともに聞いてもらえず、転職先を探そうにもそんな会社はどこにもありません。それならば自分で立ち上げるしかないと決断し、1994年にインターサーブを設立したというわけです。
岡本さんが大切にしていることは?
振り返ると、私は本当に人に恵まれましたし、多くの人に助けてもらってここまできました。創業当初にサービスプロバイダー業を始めたのは、人の紹介で融資を受けることができ、偶然にもサーバを手に入れられたことがきっかけでした。ショッピングサイトを始めたきっかけも、事業として軌道に乗せるときも、商品の仕入れや在庫の管理といったあらゆる場面において、出会った人たちのアドバイスがインターサーブを支えてくれました。 転換期には必ず、「面白そうなことをしているね、よくわからないけれど助けるよ」という感じで、手を差し伸べ、力を貸してくれる方がたくさんいました。事業が行き詰まり、さあ危ういぞという時も、やはり助言をくれる人がいました。 それは、古くからの知人だけでなく、友人の友人、訪問時にたまたま横を通りかかったその会社の社長、債券を回収しにきた私にとってみれば都合の悪い人であっても、そうでした。 だから今でも、人との出会いは大切にしています。事業が軌道に乗り始めてからも、次の一歩のヒントは人から教わることがほとんどです。誰かから聞いた話同士がつながっていき、その点が線になり、面になるのです。 面接で求職者の方とお会いできるのも、非常に大切な縁だと思っています。
「社員に対する思い」をお聞かせください。
ありきたりかもしれませんが、私にとって社員のみんなは家族なんです。私には娘がいるのですが、彼女と話していてよく言われたのが、「私は社員じゃないですから」という一言。どうも、家族と話していても、社員たちと話していても、気持ちも目線もまったく同じなんだそうです(笑)。 偶然にも知り合って、一緒の時間を過ごす限りは、少しでも幸せな時間を過ごしてもらいたいですし、幸せな人生を歩める人になってもらいたい。幸せの定義は人それぞれですが、少なくとも人にやらされる人生は損です。常に自分で選んでいける人生を楽しんでほしい。個の気持ちは、子供に対する教育方針とまったく同じです。 だから、社員にいつも話しているのは「常に自分で選択し、決断すること。やりたいことにするかどうかは自分次第だ」ということです。もし「人にやらされている」と感じていたとしても、それを選択したのは自分だということです。少しでもいい選択をしていけるようになってほしいですね。
では、岡本さんにとっての幸せとは?
難しいなあ・・・私はずっと幸せなんですよ(笑)。 「これを目指そう」と考えているときが一番幸せですね。そして、それを成し遂げた時が二番目に幸せかもしれません。 達成した時には、実は既に飽きていたりするんです。達成が見えてきたときに、「その次に何をしようかな」と考えるわけじゃないですか。そのワクワクしているときがやっぱり一番楽しいですよね。もしかしたら、単純に飽きっぽいだけかもしれませんが(笑)