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インタビュー画像代表社員・社長 肥田野 正輝氏 東京工業大学大学院精密機械システム専攻修了。1998年にNECに入社し中央研究所で次世代光ドライブの研究開発に従事。2002年に入社した半導体設計ツール開発のベンチャー企業ではCTOを務める。その後、2003年にピクセルワークス・ジャパンに入社しフィールドアプリケーションエンジニアとして活躍した。2005年に独立し、地域密着型IT事業を模索。2007年7月にSNSなどのツールを活用し地域情報化を支援するインフォ・ラウンジ合同会社(現インフォ・ラウンジ株式会社)を設立した。

独立するまでのご経歴について教えてください。

NECでは中央研究所で光ディスクの設計開発や基礎技術の研究、半導体設計などの業務を行っていました。そのまま大企業でずっと仕事を続けていくよりも他のことにチャレンジしてみたいという思いが強くなり、半導体設計を効率化するCADを手がけるベンチャー企業に入社しました。主に日本の大手企業向けに製品の紹介やデモを実施するフィールドアプリケーションエンジニアを担当し、その後CTOに就任しました。IPOを目指していましたが、いろいろあって最終的には会社はクローズ。ベンチャーの良さを感じた一方で、IPOを目指すことの困難さも体感しました。まずは小さくても、独立して自分で会社を興したいと思いはじめたのもその頃です。 資金を確保するために、あらかじめ起業を考えている旨を伝えたうえでピクセルワークスという外資系ベンチャーに入社しました。同社はプロジェクターや当時流行りはじめたフラットパネルディスプレイ用のイメージプロセッサの開発を手がけており、日本向けのフィールドアプリケーションエンジニアとして1年半働かせてもらいました。 2005年に独立し、個人事業主としてスタートしました。それまでに携わってきた業界とは領域が違いますが、地に足のついた会社をやりたいという思いもあり、最もコストがかからないWeb制作サービスという道を選んだのです。当時はまだhtmlによるホームページの作成が主流だったのですが、代表的なCMSの一つであるMovable TypeによるWeb制作を前面に押し出してサービスを提供していったところ、少しずつ軌道に乗っていきました。

その後、インフォ・ラウンジを設立した経緯と、創業当初の思いについて教えてください。

個人事業主だった当時は、ターゲットを特に定めずにサービスを提供していました。クライアントは他県の会社が多く、地元の横浜で「お客さんが見える仕事をしたい」という気持ちが強くなり、地域に関わっていきたいと考えていました。 ちょうどその頃、「開国博Y150」をはじめとする横浜開港150周年記念事業が実施されており、その一環として横浜市の市民向けのSNSをつくるプロポーザルがありました。そこに手を挙げて横浜地域SNS「ハマっち!」の開発を手がけたのが、地域情報化という領域に入っていったきっかけです。 「開国博Y150」の市民創発プロジェクトは、企業や行政側だけが情報を発信するのではなく、市民が主役となってイベントに参加し自分たちの手でつくり上げていくものでした。全国的にも先進的な事例で、それを支援していくことに大きな意義や面白さを感じました。横浜のNPOなどと事業を進める機会も増え、ICTを活用してもっと地域の人たちのつながりに貢献していきたいという思いから、インフォ・ラウンジを設立しました。 組織的な面では、エンジニアが自由でのびのびと働けるような環境をつくっていきたいという気持ちの方が強かったです。組織が大きくなると、いろいろな面で融通が効かなくなるのも事実で、いまは会社の成長と個人の自由度をいかに両立していくかという課題に七転八倒しながら戦っています(笑)。

「ICTで世の中のすべてのバリアーを取り除く」というミッションについて語ってください。

例えば行政に関して言えば、オープンガバメントを推進しているといっても実際はまだまだ開かれていない部分があります。オープンソースやオープンデータなど、オープンで効率的な世界を構築することによって、社会全体のコストが下がると考えています。これは単に事務コストやシステム開発のコストの削減が実現するということだけではなく、空いたリソースで人間にしかできない対面の福祉サービスなどをもっと手厚くできるということでもあると思います。 また、これは私自身がエンジニアだということもあると思いますが、あくまでも「技術」で世の中の課題を解決したいという気持ちが強いです。もちろん、福祉や教育という領域では人の手で解決されていることはたくさんあると思いますが、我々は技術者という立場で他の人にはできない側面からこのフィールドに貢献することがミッションだと考えています。 福祉は福祉、技術は技術というように全く別のものだと思ってしまっている方も多いと思いますが、「福祉×IT」や「教育×IT」というように組み合わさることで新たな価値が生まれることは実は非常に多く、その領域を狙っていくのが我々のオンリーワンポイントにもなると考えています。

社員に対する思いを語ってください。

社会にとって必要とされる役割と、個人のモチベーションを時間をかけてゆるやかに、かつ最終的には強固に一致させていくプロセスが重要だと思っています。仕事である以上、やりたくないと思える事もあると思いますが、その要因を分解して一つ一つ解決していくプロセスを経て、Win-Win-Win-... の関係を広げていくことで、全員がハッピーになれると考えています。 我々のビジネスは国や自治体などの官公庁が8割です。彼らの先には、国民や市民がいて、それはイコール社員一人一人であったり、その家族や友達であったりします。BtoGtoCと呼んでいますが、行政機関(Government)へのサービス提供を通じて、市民(Citizen)にメリットをもたらす。その役割を提供できることに対して誇りをもち、感謝され続ける存在であり続けることを願っています。

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