代表取締役CEO 橋本真里子氏 2005年にトランスコスモスにて受付嬢のキャリアをスタートし、USEN、ミクシィやGMOインターネットなど上場企業5社の受付に従事。11年間で120万人以上の接客を担当した経験から、受付の効率化を目指し、2016年に株式会社RECEPTIONIST（旧・ディライテッド株式会社）を設立。

いままでの経歴と、RECEPTIONIST設立の経緯をお聞かせください。

私が就職活動をしていた時はまさに就職氷河期。1年間のフリーターを経て、今後どんな職業に就いたとしても通用するビジネススキルを手に入れるため派遣社員としてトランスコスモスという会社で受付嬢としてキャリアをスタートしました。 受付の仕事に誇りとやりがいを感じ、その後も数社受付を経験し感じたことは、「世の中はデジタルの力でどんどん便利になっているのに、受付はアナログなままの文化が残り続けている」ということ。顔見知りでも名刺を頂戴しなくてはならないし、来客情報は紙で管理をする。さらに、来客を伝えるために内線電話をかけてもなかなか社内担当者は捕まらない…。せっかく来客されているお客様を待たせてしまうし、社内でも取次が発生してしまうなど、これでは誰もハッピーではないと思ったんです。 受付の仕事にやりがいを感じ大好きだったからこそ、この非効率さを改善できないかと考え、次のキャリアを考えた時に起業を決意しました。受付システムを提供しているような会社があればそういった会社に転職すればよかったのですが、当時はありませんでした。そこで、「本当に便利なシステムを作るなら、受付を熟知した人が作るべき。じゃあ私がやるしかない！」と使命感を持ってシステムを提供しようと決めたんです。短期離職が多い受付嬢のなかで、10年以上続けた私にしかないキャリアは、働いた企業はもちろん、そこで出会った経営者や役員の方、従業員やお客様・受付の先輩や同僚など、さまざまな関わりから授けていただいたものです。このキャリアを世の中に還元したいという思いが土台になっています。

設立から9年ほど、今までの道のりをどう感じますか？

ユーザー企業をはじめとしたステークホルダーに支えられ、クラウド受付システム「RECEPTIONIST」はたくさんの方に使っていただくサービスに成長しました。私たちのプロダクトが、全国あらゆる場所でたくさんのお客様をお迎えしていることを嬉しく思います。 インパクトの強かった出来事は、2020年のコロナ拡大です。オフィスに紐づく受付サービスを提供している当社にとっては一時的に向かい風となりました。しかし、「この状況だからこそ、人を介さない新たな受付の形が注目されるはず」と前を向き、ユーザーが求める機能を追加したり、一機能だった日程調整機能を切り出して単独サービス化したりなど、進化を繰り返しました。結果として、今までの業務効率化観点だけでなく、「不特定多数が触る電話を用いた受付運用を変えたい」「もしものために来客をきちんと記録したいため、システム化したい」というお問い合わせが増え、未曾有の事態を乗り越えることができ、新たなユーザー拡大にもつながりました。 ビジネスで人が会うまでには必ず日程調整を行い、訪問した際は会議室が必要であることから、現在はRECEPTIONISTに加え、日程調整ツール「調整アポ」と会議室予約システム「予約ルームズ」も提供しています。出会いまでのコミュニケーションをスムーズに行なうことで、本来の仕事で輝ける環境を創出し、働く人がエンゲージメントを高く持てる世界を目指して、これからもより一層取り組んでいきます。

RECEPTIONISTの行動指針である、３つのバリューについて教えてください。

バリューの最初に掲げている『①成果を出す』は、スタートアップとして活動していくのに、最も大事だと思ったので一番目にしました。そして2つ目が『②敬意を払う』です。普段働いていると、どうしても周りのメンバーやステークホルダーなどへの感謝を忘れがちになります。どんなに忙しくても互いに敬意を払うことを忘れないよう、バリューに連ねました。 そして特に私がこだわったのが、最後の『③覇気を纏う』です。長年、受付として働き、多くのビジネスパーソンを見ていると、成果を出し続けたり周りを惹きつける方は例外なく覇気を纏っていました。最初はやる気に満ちあふれている人でも、時間が経って慣れてくると中だるみしてしまうもの。いつまでもモチベーションを維持するためにも、覇気を纏い続けられるようバリューに入れています。 これらのバリューは、私自身が率先して体現しなければいけない価値観でもあります。日頃から自身の言動を振り返り、まずは自分がバリューを体現できるよう心がけています。

最後に、RECEPTIONISTの魅力をお聞かせください。

わたしたちのメインプロダクトである受付システム「RECEPTIONIST」は、リリースから現在までに「使ったことがある」「見たことがある」という声を多くいただくようになりましたが、全国の会社や店舗といった「受付」があるすべての場所から考えると、まだまだごく一部にしか導入されていないプロダクトです。 つまり、市場としてまだまだ伸び代が多いということです。 当社は、ただ効率化・DXすることだけではなく、その先の「ビジネスコミュニケーションのアップデート」を目指しています。 ビジネスの現場では、まだまだアナログで非効率な文化・慣習が根強く残っています。それらをテクノロジーの力を使い、アップデートすることで、日本のビジネスにおける生産性が上がると思っています。同時に、仕事をするうえで日々生まれているストレスも軽減していける。その結果、より自分の成果を発揮できる環境創出が実現できるプロダクトになっていると自負しています。 新しい文化作りをしているわたしたちの思いに共感して、より多くの場所に届けていきたいと思ってくれる方が、RECEPTIONISTに入ってくれるととても嬉しいなと思っています。 社内には、プロダクトへの愛を持ちながら仕事に向き合う文化があります。これからご入社いただく方々にも、ぜひ自社の製品に愛着を持っていただき、それを世の中に広めるために挑戦していただきたいと思います。