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インタビュー画像渡辺順也 代表取締役 慶應義塾大学を卒業後、日立ソフト、サイバーエージェントを経て、2010年にイノベーター・ジャパンを設立。

創業のきっかけは何だったのか?

元を辿っていくと高校生の時にWindows95があって、そこからインターネットバブルがドンドン広がったことが一番初めの動機だと思います。 そのあと、インターネットを使ってビジネスをするためにはどんな予備的な要素が必要なのかを考えた時に、大学ではビジネスを学び、初めての就職先はエンジニアリングがわからないと作れないので、しばらくシステムエンジニアとして働いてみよう、その次は事業開発をしたいので社内ベンチャーができるところへと思い、サイバーエージェントに就職しました。20代の頃は起業のための修業期間として考えていましたね。 その時は、システムエンジニアとして企業・組織の”バックエンド側”の仕組みを作っていて、インターネット広告代理店ではマーケティングやBtoCのサービスというどちらかというと企業・組織の”表側”のシステムを作っていました。両方共通していたのはITだったんだけど、企業の"バックエンド側"と"表側"のITが分断されていて、一気通貫にされていないと思いました。クライアントにとっては繋がっているものなので一気通貫して考えられるといいよな〜とその時から思っていましたね。 あと、サイバーエージェントにいた後半に、海外拠点の立ち上げでしばらく日本を離れていて得た経験や視点が結構重要で、日本を客観的に見ることができました。日本を離れる前はいろんな企業・組織が元気が無くなっていて、暗雲が立ち込めるような雰囲気があるように感じていたんだけど、いざ海外に出てみると日本に対する期待やブランドは高くて、そこにギャップを感じました。 なぜうまくいかなくなっているのかなと考えた時に、諸外国の元気のある会社と比べて、日本の企業には圧倒的に足りない要素がありました。それが今やっている、IT・デザイン・マーケティングでした。我々が外部の企業として、色んな企業にIT・デザイン・マーケティングが提供できれば、日本の企業もまだまだ世界に通用できる企業に進化できるかなと。これが創業した時の一番初めの考えですね。

GROOVEを生み出す仕掛けづくりとは?

創業当時はIT、マーケティング、デザインが単品として存在していて、システム構築やWebデザインなどのように案件ごとに単品売りしていました。それが、メディアになると複合的になっていき、単品売りだと差別化ができなかったけれど、二つ三つと要素が重なってくると付加価値が出てくることが分かってきて、我々の強みとなってきました。だからこそより高次元なプロジェクトにシフトしていこうと考えています。 ほとんどの案件は要件が決まってる中で請け負うのでこちらでコントロールができるところが少ないのだけれど、ソリューション事業部のようなところは自分達から提案していこうという方向に変わってきています。お客様に頂いた要件に沿って応えるだけでは課題は解決されないので、要件の裏側に隠れている本質的な課題を読み取って解決していかなくてはならないと思い、だからこそ複数の要素が重なるよう拡大して提案していくように意識し始めたのが2014年ごろでしょうか。 リューション事業部ができたきっかけは、IT、デザイン、マーケティングの3つの掛け合わせだけでは複合的には機能しなくてこの3つを紡ぐ人がいないと機能しないので、ソリューション事業部やビジネスデザイナーという紡ぐ役割の人を創っています。 今も変われていないんだけど、変わろうという意識に変わったのがこの頃ですね。 多分うちのプロジェクトの進め方ってよく言えば自立していると言えるし、悪く言えば属人性が高いとも言えるます。 誰かがプロジェクトを担当していて、ノウハウがそこに蓄積しているんだけど、その人がいないと回らないことがほとんどじゃないでしょうか。ただうちが考慮しなきゃいけないのは、お客さんにとってはどうなのか?お客さんにとってはリスクであるし、もしその人が倒れてしまったときに止まってしまうのは企業として問題があるので、バックアップ体制はここ1、2年で整えてきたかなと思います。 あと、オーナーシップを持って取り組んでくれていることは素晴らしいんだけど、それだけに留まってしまうと成長が滞ってしまうから、自分が作ってきたものを次の人に託して自らは次のところに行くということでうまく循環させなければいけないですね。

LOVEのあるビジネスとは?

創業からずっとやってきているクライアントワークについては良くも悪くも安定してきているというのはあるので、これをいい意味で壊していくか?が必要だなと思います。それはお客様のためでもあるし、メンバーのためでもあるし、一人が同じプロジェクトをやり続けていくのではなく、循環が生まれていく形でやっていかなくてはなりません。 インターネットの強みはボーダレスなのでその強みを使わない限りインターネットでやる意味があまりないから、我々のサービスはグローバル・ボーダレスに使われるサービスを目指すのがミッションです。 クライアントワークという言い方がもしかしたら我々にとっては良くない言い方なのかもしれない。どのサービスでも見つめるべきは使ってくれるユーザーである個人であるし、我々はそこを見て価値を作っていかなくてはならないのです。 ということを考えると、途中にクライアントがいてもいなくて考えることは基本的に同じはず。クライアントがいるということは既に立ち上がっているサービスやノウハウが何らかあるはずなのでそこから始めればスピードも上がるし、レバレッジも付きますしね。 しっかりユーザーを見つめてやっていく考え方が、我々の考えているところの"LOVE"に当たるところで、一人一人の心を感じ取らない限り、クライアントワークも自社サービスもできないということです。 やっぱり人の心を知るためには人と触れ合うしかない。それは身の回りの人たちはもちろん、自分と違う価値観を持ってる人とか、お客さんとか、こういった人たちとのコミュニケーションがすごい重要だと思っています。 我々はインターネット上でビジネスすることが多いのでお客さんとフェイストゥフェイスで触れ合うことは少ない。一方、飲食や接客業はその場でお客さんと触れ合うわけで常にお客さんの顔を見ながら仕事をしている。こういった正反対のことをたまにやることがあればストレッチできるのでいいかなと思っています。 うちで考えているオフィスカフェ構想にもこの考え方が入っていて、たまには店先に出てサービスをすることが我々がデザインやマーケティングをするためには非常に重要じゃないかと思っていますね。

いいやつ、オタク、ワクワクし続けられる組織とは?

今すでにイノベーター・ジャパンのメンバーは"いいやつ"が集まっています。メンバーに対してもそうだし、InnoCAFEにいらっしゃる方にも誠実に接することができる人たちで嫌なやつがいない。 ここは強みであるんだけれども、その上で優しさ+αのところがビジネスに必要で、このあたりは自分も含めてまだまだ足りないところもあるのでみんなで養っていければいいかなと思っています。 イノベーター・ジャパンにおけるプロジェクトをバンドに例えると、一人一人がバンドのメンバーでそれぞれの人間が役割を担っている、特筆したスキルがある。かつ、同じ観客に向けて音楽を奏でることができる、発信することができる、人を感動させることができる、そういった能力はメンバーに持っててほしいなと思います。 やっぱりいいバンド・組織の特長というのは、このバンドをどうしたいのか?人々をどういう風にしたいのか?を持っているからこそいいパフォーマンスができますよね。 LOVEやGROOVEなど当社のバリューはいい音楽を奏でるために必要なマインドだから、これらが備わっている人が集まると必然的にいいパフォーマンスができるのではないかなと思います。 業務スキルでもいいし、業務と直接関わらなくても、一つのものを追求するという好奇心を持ってて欲しい。最低何らかのオタクであって欲しい、と面接ではよく言っているけど、オタクって悪い言葉じゃなくて、何らかに夢中になれることがあるということが重要かなと思います。 いいやつ"であることはもう大前提。その上で、やっぱりGROOVEというか、チームワークというのは絶妙なバランスで成り立っていて、一点でもノイズが入ると全部崩れてしまうものだと思っているから、新しいメンバーを迎え入れることに関しては慎重にやっていきたいと思うな。 基本的に会社を数百人いるような組織にしようとはあんまり考えてなくて、会社というもの自体は何らかの課題を解決するための集団であり、そこの中の人間がワクワクしながら過ごしていくための箱みたいなものなので、それがそもそも実現できないならいくら大きくしても意味がないと思う。 会社というものも従来のようなヒエラルキーを作るというよりも、出世とかそういった価値観だけではなく、中にいる人がワクワクできる組織であることが大事で、今は答えがないけれどワクワクし続けられる新しい組織作りにチャレンジしていきたいと思います。

ミッションに込めた想いとは?

幸せとかハッピーって何なのかなって考えたときに、すごいお金を稼いでリッチな暮らしをするといったことではないと思ってて、社会というのは一人一人が何かの歯車であり、それ以外ありえなくて、一人では生きていくことはできないと思っています。そして、一人一人が繋がりつつ、上手く動いている状態が個人にとってもハッピーで社会全体においても最も理想的な状態ではないかと。 自分たち自身もハッピーであるためにはそういった社会全体のシステムを作っていくこと。今は動かなくなってたり、動きがおかしい歯車のような故障しているところがあって、そういったところを直していくのが価値があるし、やり甲斐もあるし、これらのことをビジネスとしてやっていける組織を作りたいです。 今は「ポテンシャル」という言葉を使っているんだけれど、個人が後天的に備えるものではなく、生まれながらに持っている能力があって、本心からやりたいことや叶えたいことがあるはず。今は本当にやりたいことがあるんだけど見えなくなっている現状があると思います。 我々は少なくとも、そういった意志や志が分かっている人がちゃんとやりたいことの方向性に力を使える、といったことができると理想的な状態だなと。 ミッションの"豊かな社会"とは、一人一人が精神的に満たされている状態、イメージでいうと色々なものが艶を持っていて潤っている状態ですね。たぶん幸せな状態というのと近く、個人個人異なった幸せの基準に合った形でそれぞれが適度に満たされた状態ですかね。 この話と通じるかわからないけれど、自分達がITを使ったサービスとしてやりたいのは、世界中にいる人々が発揮できる力や価値がそれを欲している人に上手く伝わること。それは知恵かもしれないし、労働力かもしれないけれど、インターネットというチャネルを通して世界中に伝わっている状態を創る。その力を享受できる人は嬉しいし、提供する側も生き甲斐にもなるし、何か対価を得られるかもしれない。 簡単な表現をすると、適材適所な世の中を創りたいです。 誰にとっても人生は1回きりしか無いので、自分がやりたいとか、後で後悔しないといったことをみんなが考えた時に、今この会社のミッションやビジョンを理解していただいて、共感していただけるならぜひ一緒にやっていくと大きなこともできると思うし、単純に楽しいし、一緒にやれるといいなと。 一緒に音を出して、奏でて、みんなで感動できる体験ができるといいなぁと思います。

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