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インタビュー画像町田 貴昭 株式会社ビットキー VP of Product / Workspace & Experience 東京理科大学工学部出身。 2012年にワークスアプリケーションズに入社し、会計システム・EC製品の開発経験と、建設業界向けシステムの立ち上げにも携わる。 その後、2018年にビットキーへ創業期に入社。 ソフトウェア領域のプロダクト開発を中心に、プロダクト全体のビジョン立案からUXを設計し、コーディングまでを推進。 現在はビットキーのWorkspace事業を中心にプロダクト責任者とUXチームのマネージャーを兼務している。

日本一複雑な絵を表現するという挑戦

ーー創業メンバーの1人である町田さんですが、創業から現在までを振り返ってみていかがですか。 人生で一番濃い2年間でした。どこを切り取ってもがむしゃらでしたね。今もその状況は変わらないですし、これからもずっと全力で走り続けるのだと思います。 実のところ、僕はビットキーでスマホアプリやWebシステムの構築に携わるまで、この領域に関してはほとんど未経験の状態でした。前職では会計システムの管理会計領域を担当していましたし、その後はECシステムの受注や決済に携わっていたので、現在マネジメントを担当している領域は0からの挑戦でした。   ーー経験が少ない領域をリードしていくことになったわけですね。不安はなかったのですか。 もちろん1人では無理だと感じていましたが、創業メンバーには心強い仲間がいたので大丈夫だろうと思えました。チーフエンジニアの山本や、前職で一緒だったソフトウェアエンジニアの白木です。白木は技術力がずば抜けていて、1を言えば10理解するような天才エンジニアです。今も技術力でApp/SaaSチームをリードしてくれています。 あとは、元CEO江尻の世界観を表現できるのは自分しかいないと思っていたので、不安よりも謎の自信がありました。僕、昔から塗り絵が得意なんですよ。絵を描くのは苦手なのに、細かい色の塗り絵が小さな頃から好きだったんです。江尻が思い描く絵って、日本中どこ探してもないくらい複雑な絵だと思うんですね。それをちゃんと色塗りして顧客に価値を表現できるのは僕しかいない。そう思ったんですよね、勝手に(笑)。   ーーそのように思えた理由は何でしょうか? 新卒1年目の頃から江尻と有志メンバーが集まって週末に研究をしていたのですが、その時に江尻の横でデザインの実装やフロントの開発をしていた経験からきています。正直最初は彼が何を言っているのか1ミリも分からなかったのですが、それでもいつしか「すごいじゃん!」と言ってもらえるようなものを出せるようになっていきました。この経験が僕に自信を与えてくれたのだと思います。

開発力以上に必要なものは、人としての信頼感

ーー初めてのプロダクトリリースについて教えてください。 僕らにとって最初のプロダクトであるbitlock LITEをリリースしたのは2019年6月のことでした。リリース前の1ヶ月は正直ものすごく辛かったですね。皆の期待を上回るほどのプロダクトを作れなくて、死ぬ気でやっていたけどそれでも作れない。打ち手がなくなって途方に暮れそうな時もありました。それでも諦めずに開発した結果、リリースのタイミングには間に合わせることができました。その時の限界まではやり切ったと言い切れますが、100点満点の形ではありませんでした。今も100点ではないですし、ずっとその時は来ないと思います。いつまでも進化していくプロダクトを出し続けていかないといけないので。   ーー辛い時期を乗り越えて無事にリリースできた時は、どんな思いでしたか。 リリースしたその瞬間はホッと一息ついたものの、その後は様々な問い合わせが相次ぎました。顧客からの問い合わせに全て目を通したり、カスタマーサクセス部隊がある宮崎に直接赴いて宮崎拠点のメンバーと連携したりしました。   ーー宮崎に直接赴いたのはどういった理由からですか? 東京と宮崎で遠隔で繋ぐこともできましたが、スピード感を持って解決するということを優先させました。あとは、他の誰でもなく僕自身がカスタマーサクセスという業務の側面にある「辛さ」を体感すべきだと思ったことが最たる理由です。App/SaaSチームは、カスタマーサクセスや他チームに常に守られているという意識で開発をしています。他チームのメンバーが矢面に立って、顧客のネガティブな声も含めて率直な意見を拾い上げてくれるから、その声を聞いて僕らは改善し続けることができています。だから、カスタマーサクセスの現場に実際に行ってその状況を目に焼き付けることが僕にとって必要な経験であると思ったのです。 カスタマーサクセスをはじめ、他チームに対して最も感謝の念を抱いているのはうちのチームじゃないかと思います。だからこそ、Slackの返信やオンラインの会話も含め、いつも相手の立場に立ってコミュニケーションをとるように心掛けています。他チームとの信頼関係がなくなったら、僕らは開発を続けることができなくなってしまいます。社員の誰からも信頼されるチームを作り続けることも、僕のミッションであると感じています。

チームに影響を与えるものは「キングダム」!?

ーー町田さんがマネジメントを担当しているApp/SaaSチームの業務内容と特徴を教えてください。 顧客に毎日使ってもらうようなスマホアプリや、不動産管理会社をはじめとした様々な業種業態のお客様がご利用になるSaaS開発を行っています。他社システムと連携するためのAPI開発や、スマートロックなどのデバイスへの組み込み開発も担っています。 一人一人の開発領域も広く、フロントエンド・バックエンドを分けることなく「一つの価値」として各々が責任を持ち開発しているところが特徴です。バックエンドだけだとこれがどのように使われているのか分からないですし、インタラクションをどうするかということはあくまで手段の一部でしかありません。価値提供を追求した時に分担することは非効率だし、感情的にも嫌だというのが僕の考えです。 チームの特徴としては、常に「全軍前進」です。これはキングダムから拝借した言葉です(笑)。   ーー「全軍前進」・・・!詳しくお聞きしても良いでしょうか。 少しネタバレになってしまうのですが大丈夫でしょうか(笑)。キングダムのとある場面で大将軍が「全軍前進」と叫ぶのですが、それが血湧き肉踊るような名シーンなんです。全員の士気が高まって、とにかく皆で前へ進んでいく様子が描かれています。僕らも「全軍前進」を体現したチームを目指しています。 ちなみに、僕らのチームでは「新規開発」「保守」という言葉は使っていません。「新規開発」と聞くとクリエイティブでポジティブな印象、「保守」と聞くとひたすら改善に回って面白みに欠ける印象があるかもしれません。僕らはその概念を変えるため、新規開発系のポジションを「後衛」、保守系のポジションを「前衛」と呼んでいます。キングダムの「前衛」「後衛」のイメージです。お客様と一番近い場所で保守系タスクをこなすのが前衛。その後ろでプラスの一撃を与えるべく、新規開発という弓矢を引いているのが後衛です。キングダムは僕らのチームカラーに影響を与える大切な存在なので、オフィスには全巻揃っています。これまで読んだことがない方もお貸しするのでご安心ください(笑)!

「大人の真剣な遊び」を多くの仲間と

ーーApp/SaaSチームで活躍するエンジニアは、どんな方だと感じますか。 いくつかありますが、まずは自分の中に強い信念あって、自走できる人です。仕事は周りから奪って、自分からキャッチアップしていくような姿勢の方がうちではフィットすると思います。 あとは、モノづくりが大好きな人です。正直好きじゃないとやってられないと思います。他のチームを信頼して、万が一トラブルが発生したときに「任せろ!」と思えるのか。どんな時でも顧客に価値を与えるためにモノづくりを追求できるのか。それを握るのは根底にある「モノづくりが好き」という思いじゃないかと僕は思います。 そして最後に、自分の成長とプロダクトの成長の両方にコミットできる人です。ソフトウェアだけでなくハードウェアや組み込み開発も、全部一度リリースを迎えたら「それで終わり」ということはなく、常に進化させ続け、常に改善を行っていきます。スキルがあっても、自分自身を改善・成長させる器量がない方はカルチャーマッチしないと思います。僕自身も成長意欲を忘れたくありません。   ーー「成長」に関する町田さんご自身の具体的なエピソードはありますか。 スキルに関して言えば、現在SwiftUIという言語を勉強しています。社内で経験者がいないので、初歩の初歩であるチュートリアルから始めました。新しいプロダクトに取り組みながらなのでハードではありますが、スキルを向上させて今後の開発に活かしていきたいと思っています。   ーー最後に、未来の仲間に対してメッセージをお願いします。 元CEO江尻の言葉の受け売りですが、仕事は「大人の真剣な遊び」だと思っています。僕は子供の頃ゲームに夢中でした。大人になった今、まるで子どもの頃の感覚が蘇ったかのように仕事に夢中になっています。義務感からやるんじゃなくて、とにかく面白くて時間を忘れて没頭してしまう。そんな感覚に突き動かされ、ここまで走ってきました。しかも、当時はラスボスを倒すために1人でゲームをしていましたが、今は優秀な人間が集まって、個人では太刀打ちできないような強いボスにも立ち向かうことができるのです。 「大人の真剣な遊び」が、新たな価値となって誰かの喜びに繋がっていく。こんな楽しいことはなかなかないと思います。この体験を多くの方と共有できたら嬉しいです。

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