株式会社ネクステージ

中古車の販売仕入を中心に事業を展開する株式会社ネクステージは、1998年の設立から成長を続け、2019年11月期の決算においては売上高2,000億円を超える業績を残している。2014年には東証一部、名証一部への株式上場も果たし、従業員数も約3,100名に達する等、自動車販売業界のトップクラス企業としてのポジションを確立している。

同社は現在、中古車の販売・買取事業、輸入車の新車ディーラー事業のほか、自動車整備事業や保険代理店事業まで幅広く展開している。中でも中古車販売店に関しては、あらゆるジャンルのクルマを扱う『総合店』、SUVとミニバンが中心となる『SUV LAND』、同業他社をリードする在庫台数と店舗規模を誇る輸入車専門店の『UNIVERSE』と、ユーザー層の違いによって店舗モデルを分けた展開を行っている。

「当社の事業は中古車販売からスタートしましたが、お客様にワンストップのサービスをご提供したいという思いから、店舗規模の拡大や整備事業にも注力するようになりました。また、2016年からは輸入車の正規ディーラー事業も開始する等、よりお客様のニーズに一貫してお応えできる、そしてご家族やお子様の代まで長くご利用いただけるモデルを構築したいというのが私達の思いです」（人事本部統括・宮﨑公嘉氏）

同社の最も大きな特徴は、設立時から続く"集客手法の違い"である。他社が情報誌やチラシでの認知、そして大型店舗の展開による看板認知からの集客を目指した一方で、同社はWebによる認知と集客によって事業拡大を果たしている。前職で競合のライバル企業に在籍していたという宮﨑氏は、外部の視点から同社の戦略を目の当たりにした際の衝撃を次のように語る。

「他社よりも中古車単体の価格を下げ、それをネット上に掲載することで宣伝効果を狙うという手法と、その効果で生まれるWebでの集客力にはとにかく圧倒されました。業界内で先んじてWebを活用していたのがネクステージというのが、私の印象ですね」

インターネットを活用した集客と販売を事業拡大の足掛かりにした上で、さらにその基盤を生かしながらリアルの店舗展開をスタートさせたのも同社の特徴と言えるだろう。認知度を上げ、インターネット上でのサービスを充実させた上で、リアル店舗の展開を拡大することで買取という仕入れにも効果を生む。他社とは逆のプロセスによる事業展開が、同社が急拡大を続ける要因となったのだ。

今後は、社内システムの開発体制をいかに充実させていくかが同社の最重要課題となると、宮﨑氏は指摘する。従来、店舗や営業現場を中心としてきた自動車販売の業務だが、これからはマーケティングの部分を含め、IT活用による事業の最適化が何よりも必要になるというのが同社の考えであり、そのための組織づくりに取り組むという。

「規模が大きくなるにしたがって業務の効率化が必要になりますし、自社独自のやり方でお客様に対する商品価値の提供ができるかどうかが、次のステップアップへのカギになります。その意味でも、社内の基幹システムのブラッシュアップやリニューアルに積極的に取り組まなければなりませんし、開発部門の強化は必要不可欠なミッションとなっています」

同社では、約2年前から営業現場における業務のマニュアル化を進めている。そのマニュアルの展開に加え、マニュアルに基づいた教育や評価制度を一貫して整備することで業務の効率化と質の向上を図っているということだ。その取り組みに関しても、システム活用を実現させる開発部門の役割は非常に大きくなっているのである。

「この業界は、トップセールスが業績を引っ張るような“属人的”な側面があると思います。しかし、そのトップセールスを育てるのは難しいことであり、また店舗でしっかりとした教育ができる体制がなければ売上の悪化にも繋がってしまいます。何よりも大切なのはお客様に不満を抱かせないことであり、お客様に愛される企業としての"体制"を作ることです。その基礎となるものを構築するプロジェクトで、開発部門が大きな役割を担っているのが当社の現状です」（宮﨑氏）

マニュアルの整備に加え、各店舗の在庫や商品の状態を管理するシステムを整備することで、営業現場での抜け・漏れのないプロモーションをバックアップする。それが、開発部門の役割であり、新しい活動とシステムが連動して効率的な業務の遂行を実現することこそ、同社の成長のために必要なことだというのが宮﨑氏の考えだ。

「当社が計画通りに、正しく拡大していくための最重要部門となるのが開発部門です。本当の意味で企業の成長を牽引するような部門になっていくはずですし、そこにはエンジニアとしてのやりがいを実感できる業務があると、私は思っています」（宮﨑氏）

愛知県名古屋市の中心部・栄に構える同社の本社オフィスでは、一つのフロアで営業部門と開発部門のスタッフが勤務している。特徴的なのは、同一拠点に代表の広田氏を含めた役員達もデスクを構え、個室や仕切りのない職場環境の中で日々の業務に当たっていることだ。

真の意味で風通しの良いその環境の中で、スタッフ同士がそれぞれの専門的な見地から意見を交わし、また経営層にも気軽に相談できる雰囲気の中で、全社一丸となって自社を成長させようと奮闘しているのが、同社の姿である。

「本当の意味で使いやすい、実用的なシステムを開発するためには、現場目線と開発者目線の両方の要素が必要です。その考えがあるからこそ、当社は部門を越えて意見を出し合える社内制作の体制を整えていますし、今後も人員を補強しながらその体制を強化していきたいと思っています」（宮﨑氏）

現在、約10名の体制となっている開発部門では、エンジニアは入社後に先輩社員と密にコミュニケーションを取りながら業務内容を理解し、仕事を始めることができる。また、同じ拠点に席がある役員達や、近い距離にいる業務責任者達とも気軽にコンタクトしながら、企業文化や事業に対する思い、そして今後の自社の方向性についても理解を深めることができる。

そうした交流を重ねながら業界理解を深めることで、同社での開発業務にある魅力、仕事の面白味、そして自身の目指すべきエンジニアとしての姿を見出すことができるはずだと、宮﨑氏は転職者にメッセージを送っている。

「最近は“クルマが売れない時代”と言われることも多いのですが、現実を知れば、まだまだ自動車業界には大きな可能性があると感じられるはずです。中古販売領域に限定すれば、業界大手3社の売上を合計しても、市場規模の10%にも達していません。当然、社会として少子高齢化や若年層のクルマ離れは現実のものとして存在しています。

しかし、日本全国にまだマーケットとしての可能性は十分にありますし、そこに対して充実した商品やサービスを提供することで業績を伸ばすことができます。その中心的役割となることができるのが当社のエンジニア職であり、そこにやりがいを見出せる方には是非入社して、私達と共にチャレンジしていただきたいと思っています」（宮﨑氏）