GMOあおぞらネット銀行株式会社

インターネット専業銀行のGMOあおぞらネット銀行株式会社。
同社の特長は、あおぞら銀行の銀行業務に係る知見やノウハウと、
GMOインターネットグループのインターネット事業による“銀行×IT”のシナジーの最大化にある。
自らがエンジニアファーストな企業になるべく、エンジニア比率50％超を目標に掲げ、
“No.1テクノロジーバンク”を目指している。

「当社は、システム開発を内製化し、サービスを自社で企画・開発するなど“銀行らしくない銀行”だと言われます 」と執行役員・テクノロジー＆プロセシンググループ長の金子邦彦氏は話す。
そんな同社が、現在力を入れているのが「組込型金融サービス」。大手のみならず、創業間もないスモール＆スタートアップ企業に向けても提供しているのが特長だ。

「組込型金融サービス」は、銀行APIをはじめ、専用支店や専用デビットカードなど銀行機能のパーツを顧客である事業者（ユーザー企業）に提供し、企業が、自社のビジネスやサービスの向上を目的に、簡単に組み込み、その先のエンドユーザーに提供するもの。
多くの銀行の場合、NDA（機密保持契約）などを締結しなければ銀行APIの仕様書を見ることができなかったり、開発環境を渡せなかったりするが、同社は契約締結前から、仕様書を無償で公開している上、利用企業の開発スピードに貢献するため、サンドボックスまで用意している。その他にも、エンジニア向けの開発者ポータルやSDKをGitHubで公開するなど、さながら新進のインターネット企業のようだ。

こういったエンジニアファーストの開発支援の取り組みによって、数多くのユーザー企業が、自社サービスに銀行機能を組み込み、振込や請求書の発行、入金処理などの業務を大幅に効率化している。

同社は、既存銀行と異なり、スモール＆スタートアップ企業も積極的に支援をしている。
その理由を「当社自身がネット銀行事業を開始してわずか丸3年のスタートアップ企業ベンチャー。お客さまの成長が当社の成長である」と話す。また、「スモール＆スタートアップ企業の分野は、従来の銀行がカバーしきれていないブルーオーシャンという側面もある」と金子氏。
創業間もないスモール＆スタートアップの段階から、お客さまをサポートする“黒子の銀行”として伴走し、共に成長して成果を分かち合うという意図があるのだ。

組込型金融サービスのほか、事業開始から利便性が高いと好評の法人向けの振込入金専用口座（バーチャル口座）は、無料提供により、企業の煩雑な入金照合作業の効率化に貢献している。また、個人向けにも、給与振込や貯蓄用、カード使用分など目的別に資金管理ができる「つかいわけ口座」や、GMOクリック証券での取引がシームレスに行える「証券コネクト口座」などもそろっている。
現在は、為替による手数料収益のボリュームが大きいが、今後は、組込型金融サービスや融資サービスなどのボリュームも増やしていくという。

「事業開始当初は、個人・法人マーケットの双方をターゲットとしていましたが、事業開始1年後あたりで法人向けにシフトする流れとなりました。」この理由は、オンラインでの口座開設申込や、申込から利用開始までのスピード、各種手数料の安さ、利便性の高い資金調達サービス、銀行APIの充実など、システム開発を内製化している強みを生かしたサービスを矢継ぎ早に提供したことにより、スモール＆スタートアップ企業のお客さまを中心にご利用が急増していることにあるという。
そこで中長期戦略の柱に、
①スモール＆スタートアップ企業向け銀行No.1
②組込型金融サービスNo.1
③テックファーストな銀行No.１
この3つを掲げ、一層、技術力という強みを武器に法人のお客さまに寄り添ったサービスの充実やビジネスモデル革新を図るという。
「お客さまと当社のコンサルティング営業チーム、事業開発チーム、エンジニアチーム、全社横断のプロジェクトを組む形で、ヒューマンタッチな部分も重視し、お客さまの声をスピーディーに取り込みながらサービスを開発していく体制をつくっています」（金子氏）
また社内で、テクノロジーを解決の糸口とする業務効率化、コスト削減を行うことで、それらを顧客に還元することも継続的に行う。振込手数料などの各種手数料を業界最安値水準（*）で提供しているのも、自助努力によって生まれた１つだ。
*2021年10月1日時点

同社の社員が共有している価値観も「テックファーストな銀行」という考え方の中にある。その中心となるエンジニアグループを管掌する金子氏は、次のように話す。

「当社は個人を尊重し、その自発性に期待しています。“企業は人なり”と言われるように、人材の成長が会社の成長につながります。したがって、エンジニアと定期的に話す際には『銀行らしくない銀行を目指そう』『常識を疑おう』『答えは自分で出そう』などと呼びかけています。

そして、私のポリシーでもある『失敗の責任は役員の自分が取る』を約束し、チャレンジを促しています」
たとえば、目下、インフラをクラウド環境に移行中であるが、当該作業を手がけるエンジニアを社内公募するなど、新しい業務が経験できるチャンスを積極的につくっている。
「制度がなくて困っているなら、自ら発案し、会社をつくっていってほしいと伝えている」と金子氏は話す。同社自身がスタートアップベンチャーらしい動きをしているのだ。

組織は原則として、「グループ」と「チーム」の2階層で、グループ長は執行役員が務めるのが基本体系だが、誰もが意見を言いやすいフラットさがある。
誰もが意見を言いやすいカジュアルな雰囲気が意識的につくられている。銀行員はスーツ着用が基本といったイメージがあるが、
「当社は会長・社長以下、ほとんど誰もスーツを着ていない。エンジニアの居心地の良さを大事にしている」と金子氏。
そういうGMOあおぞらネット銀行の顧客も、スーツ族ではないスタートアップ企業が多い。互いにＴシャツ姿というオンラインミーティングもそこかしこで行われているという。
エンジニアとしてスキルアップを図る上では、数多くのエンジニアが集まるGMOインターネットグループで定期的に開催するイベントを活用できるメリットが大きい。
「そのほか、協力関係にあるAmazonやGoogleのエンジニアとの勉強会など、独自の機会も設けています」（金子氏）
さらに、無料でランチが楽しめるコミュニケーションスペース「シナジーカフェ GMO Yours」、託児所「キッズルーム GMO Bears」、マッサージスペース・昼寝スペース「マッサージ＆おひるね GMO Bali Relax」「おひるねスペース GMO Siesta」など、GMOインターネットグループの充実した福利厚生制度も魅力だろう。
なお、同社でのこれまでの採用は、部門別に個人のスキル・特性に合わせたスペシャリスト採用を主に実施していた。
今回、新たなチャレンジとして「配属先を決めずにエンジニアを採用し、採用後に本人の希望や適性を考慮して配属先を決める（※原則として社会人3年目から7年目の方についてのみ適用）」エンジニア採用も開始するなど、自らの能力を最大限に生かせる環境があると言えるだろう。

「これまでにない新しい銀行をつくる」
同社で働く社員が、「新たな歴史を自らの手でつくっている実感がある」と話しているのが印象的であった。