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インタビュー画像代表取締役 内藤 嘉章氏 大学院で銀河の研究をしていた経歴を持つ異色の経営者。知識欲が旺盛なタイプで、色んな業界・事業・企業を見られるコンサルタントになるために、博士課程からジョブチェンジ。2018年、未来の働き方とコンサルティングの在り方をサービス化するために、ProbSpaceを創業。企業課題をテーマにしたデータ分析コンペティションサイトを立ち上げ、現在はHRテック領域で新サービスを開発中。

大学院では何を研究していたのですか?

大学院の理学系研究科で「銀河進化」「星形成」等の研究をしていました。すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡を用いた、125億年前の銀河の研究。その中で、画像解析、データ解析をしていたのが、今の仕事に繋がっています。博士課程まで進み、2014年にはドイツ最大の科学研究機関に留学。ガンマ線望遠鏡を使った研究にも参加しました。帰国した2015年に博士課程を中退。外資系コンサルティングファームに入社しました。 私は好きな性分で知識を学ぶことが好きです。研究は未知の事象を解明し、新たな知識を生み出す場ですが、私は研究分野にとどまらず、より広く社会全体の構造や動向を知りたいと思い、博士課程を卒業せずにビジネスコンサルティングの道へ進む選択をしました。コンサルティングファームでは、ストラテジーチームに所属。デジタル組織再編、データ分析をベースにしてKPI分析等を手掛けていました。

なぜProbSpaceを創業したのですか?

創業のきっかけは、今の社会では仕事を選ぶことが難しいという実状に違和感を感じたことですね。 私自身も過去の経験を振り返ると、自分が担当したプロジェクトの継続案件において、希望はあっても残念ながら担当を続けられないということがありました。次のフェーズでは海外視察が必要となるため、私よりも英語が堪能なメンバーをアサインした方が良いという判断でしたが、愛着のあったプロジェクトだけに、どこか消化しきれないもやもやを感じていました。 会社に所属する以上、経営・上長が方針を考え、メンバーをプロジェクトにアサインし実行することは当然ですし、会社とはそういうものだとも思います。しかし、そのもやもやについて原因を探る中で、会社にはアサインの選択肢があるものの、メンバーにはそれがないことに気づきました。企業側は選択肢を持つが、社員には選択肢がない。このアンバランスな状況を解決する方法を模索し、ProbSpaceの創業に至りました。 具体的に、各々が仕事を選べる仕組みとしては、「スキルやプロジェクト評価の見える化」と、「転職・プロジェクトの選択肢の拡充」が鍵になると考えています。学歴・職務経歴に加え、スキルや過去のプロジェクト評価が見える化されることによって、より正当な評価をもって次の仕事を選びやすくなるはずです。さらに、転職・プロジェクトの選択肢が充実し、情報の透明性が向上することで、働く人たちが自分にマッチしたチャンスを見つけやすくなります。 このような仕組みが仕事を選択する自由を与えることで、結果的に企業も適切な人材をアサインできるようになり、より適切な人材配置が実現され、イノベーションがさらに進むものと思います。 そんな変わっていく社会を実現し、自らもその一部を見届けたいと思ったのが、ProbSpaceを創業するに至ったきっかけです。私たちの取り組みが、働く人たちに新たな選択肢を提供し、企業にも働く側にもメリットのある新しい働き方の実現をサポートできることを期待しています。

内藤代表にとって「仕事」とは?

仕事は、趣味に近いですね。知識欲を満たすためのツールでもあります。コンサルティングの仕事が好きなのは、新しい事業・業界・企業を知れるから。企業ごとにカルチャーや価値観、課題は違います。システム開発に対する考え方も大きく異なります。コンサルティングの仕事をしていると、世の中を深く知ることができます。 色んな企業のコンサルティングをしていると、仮説と検証を繰り返してビジネスをスケールさせていきますが、同じように社会の仕組みも仮説と検証が必要で、ProbSpaceのサービスで壮大な実証実験をしたいと思っています。人材の流動性が極限まで高まると、全体の給与が上がると仮説を立てています。給与は転職市場の需要と供給で決まります。しかし、人材の流動性が極限まで高まると、ROI判断で給与が決まるようになります。フリーランスの契約は、ROI判断に近くて発注する仕事に対価が付きます。 転職が簡単にできる世の中が訪れて、人材の流動性が高まると、需給ではなくそれぞれの人材に対する必要性に応じたROI判断によって、給与が決まり採用が決定されると考えています。それを試してみたいのもあって、HRテックにチャレンジしています。

ITエンジニアがITコンサルになるのに必要なことは?

ビジネス的なコミュニケーション力が必要です。コンサルは、ビジネスにおけるエンターテイナーだと思っています。クライアントに喜んでもらうのが、仕事です。ロジカルに考えることは重要ですが、コンサルティングの世界では、論理的に正しいことが求められているだけではなく、クライアントの方向性に沿った形での正解を導き出さなければなりません。ロジカルな結果が、クライアントの方向性と合わないなら、次善の策を考えるなり、クライアントを怒らせないように伝える工夫をしたりする必要があります。私は、それをビジネス的なコミュニケーション力と呼んでいます。 クライアントの視点に立って、同じ方向性を見て、その中で考えると、クライアントが求めるものは見えてきます。クライアントの言いなりになるのでは、コンサルタントの仕事をまっとうできません。クライアントの方向性を理解した上で、その延長線上でクライアントのニーズを超えた提案をする。それが、コンサルタントに求められていることです。

ProbSpaceをどんな組織にしたいですか?

当社のような小さいスタートアップに入社を希望する人、とりわけ大手企業から転職してくる人は、煩雑な稟議フローをナンセンスだと考え、言われたことをやるだけの仕事を嫌う傾向にあります。会社だから理念や方向性は共有しながらも、それぞれのメンバーが自らから考えて動ける組織にしたいです。当社のサービスについても、色んな角度からの意見が必要。どんどん意見を出してもらいたいです。 当社のミッションステートメントの作成には、社員も参加してもらいました。会社は、メンバーみんなのもの。自ら考えて動く人材になるには、ミッションステートメントへの共感が大事だと考えています。今後、採用するのもミッションステートメントに共感した人を中心にしたいと考えています。会社の事業に参加して、意見をどんどん発信してほしいです。HRテック領域のサービス開発を進めていますが、それが完成したらメンバーの増員を加速させます。今なら創業メンバーに近いポジションで活躍することができます。

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