ナンバーナインという社名の由来は何ですか?
ルーブル美術館で「漫画が9番目の芸術」といわれたところから取っています。映画や小説等は芸術として認められているけれど、漫画は少し下に見られているのが納得できないのです。映画や小説を芸術だと主張する人はいますが、漫画を芸術と主張する人は少ないですよね。でも、個人的には、漫画は総合芸術だと思っていますし、映画や小説と比べても見劣りしません。だからこそ、漫画の価値を最大化させたいという思いを込めて、ナンバーナインと付けさせていただきました。 もう一つ誤解されがちなので伝えておきたいのは、私達は漫画業界を変革しようとは思っていません。スタートアップなので、既存のものを破壊して新しいものを生み出すことを目指していると思われるかもしれませんが、私達は漫画好きの集団であり、これまで多くの漫画を生み出してくれた業界や漫画家さん等をリスペクトしています。だから、今の業界を変える変革者ではなく、スタートアップだからこそできることを追求しながら、業界を少しずつ広げていく“拡張者”になりたいと思っています。
WEBTOON事業に感じている可能性について教えてください。
WEBTOONには、大きな可能性を感じています。イラストに特化した制作代理店は、ソーシャルゲームのイラスト制作で大きくなった会社です。ソーシャルゲームの黎明期から成長期、成熟期までを第一線でずっと見てきたわけですが、あの時の盛り上がりに近いものをWEBTOONに感じています。 ただ、制作代理店ではソーシャルゲームというゴールドラッシュの渦中で、自らスコップを持って山を掘るのではなく、きれいで丈夫なスコップを来た人に売るビジネスをしていました。WEBTOONでも、同じようなビジネスモデルを展開することは可能ですし、その方が高い確率で着実に成果を出すこともできるでしょう。でも、制作代理店時代も、ものすごい盛り上がりを間近で見ながら自分も掘る側になりたいと思うことも。だから、今度は自分達がスコップを持って山を掘り当てようというところでフルコミットさせてもらったというところがあります。
小林さんのマンガ熱の源泉は?
小学生の時から漫画が好きでした。それに、漫画を読んで人生が変わった人間でもあります。 以前の私は冷めたところのある人間で、熱くなるのがカッコ悪い、本気でやるのはカッコ悪いと考え、何事にも手を抜いてそこそこ上手くできるのが一番カッコいいと思っているタイプでした。手を抜いているので、たとえ上手くいかなくても自分へのダメージは少なくて済みますしね。 でも、大学2年か3年の時に、『G戦場ヘヴンズドア』(日本橋ヨヲコ著)を読んで、一番カッコいいのは本気でやる人間だと思うようになりました。本気でやった結果の失敗は価値があるとも。実は、大学2年の時はゼロ単位だったのですが、この漫画を読んで一念発起して、3、4年で単位をフルに取って4年間で卒業できました。もし、『G戦場ヘヴンズドア』と出会っていなかったら大学を中退していたかもしれませんし、制作代理店を起業することも、当社を立ち上げることもなかったでしょう。
社員への思いや期待することを教えてください。
同じ夢に向かって一緒に走れるメンバーがいいと思っています。私達は、「すべての漫画を、すべての人に。」というミッションを掲げる会社なので、ミッションに共感してくれることを求めています。会社としてもミッションだけでなく、ビジョン、バリューを非常に大事にしているため、どんなに優秀な人であっても、ミッション、ビジョン、バリューに合わない人は来なくていいと。それくらい能力以上に、価値観やスタンスを大切にしている会社です。 また、エンターテインメントのビジネスをする上で、“好き”という気持ちはとても大事だと考えています。というよりも、好きな気持ちがないとできない仕事ではないか、と。だから、お金を稼ぎたい、生活のために働きたいというのではなく、漫画のために何ができるか、漫画が好きだから働きたい気持ちを持ってもらいたいと思っています。
最後に、応募者へのメッセージをお願いします。
大変だけど、楽しいということを伝えたいです。今は会社も大きくなってきて、オフィスもいいところに移転することができましたが、会社の規模や安定している企業かどうかだけで選んでほしくないと思っています。 当社は、出版業界から独立した会社ではないからこそ、漫画業界に貢献できることがあるはずだと考えています。しかし、出版業界出身ではないからこそ大変なところもあります。また、漫画が好きな気持ちは絶対に必要ですが、それだけでできる仕事でもありません。これは持論ですが、真の意味で仕事を楽しむためには、一定以上の努力と能力が必要だと思っています。そこで手を抜くようでは、仕事を楽しみ切ることはできないでしょう。そこも大変なところだと感じています。 ただ、好きを仕事にしているので、大変だけど楽しいです。ですから、漫画業界で自分の力を試してみたい、いつか漫画業界に入ってみたかったという人で、覚悟を持ってチャレンジできる人には、当社はお勧めの会社です。