創業の経緯を教えてください。
不動産賃貸業をしていた頃、物件を安く仕入れようと動いていく中で空き家の存在、空き家を売却できず本当に困っている所有者の存在を知りました。その当時、ニュース等のメディアでも空き家問題が取り上げられるようになっていたのですが、「問題だ、問題だ」という割に空き家の情報が流通していないことに気付いたんです。北関東等へ足を運ぶと空き家は沢山あるのですが、賃貸情報を取り扱うメディア等ではほとんど紹介されていない……。 その原因が手数料でした。不動産仲介業は手数料が売上になるため、物件の売買価格が安いと商売になりづらい。空き家をはじめとした“訳あり物件”は価格が安くなるため、不動産仲介会社としては手を出しづらいのです。 それなら得意としているWebマーケティングのノウハウを駆使して、私達が所有者から直接買い取ればいいと思い立ったのが、訳あり物件の買取再販事業を思い立ったきっかけです。
訳あり物件の買取再販事業がビジネスとして成立するという手応えをつかむまで、どのくらい時間がかかったのでしょうか。
LPを仮で作ってテストマーケを行った際、1日で2~3件の問い合わせがきたことで、空き家が売却できずに困っている人が実際に大勢いることを実感。確実にマーケットがあることを知れたので「いけるだろう」と判断できました。 とはいえ、買取再販事業は初めてのことで、仕入れた物件が本当に売れて利益が出るのか確信があったわけではありません。もちろん、訳あり物件を買い取るリスクの分、問題のない物件の買取価格よりも安価で仕入れているのでバリューアップできれば、かつ売却先を確保できればビジネスとして成立する見込みはありました。ただ、「やってみないと分からない」というのが正直なところだったので、空き家問題や建築等に詳しい弁護士等の専門家に伴走してもらいながら飛び込んでみたというのが実際のところです。 その決断ができたのも、訳あり物件が売れずに困っていた所有者の方に「手放すことができて本当に良かった」という言葉を頂けたからです。
今後の成長戦略について教えてください。
現在、日本には空き家が900万戸あるといわれています。そのうち、日本で一番空き家を購入している不動産会社であっても年間戸数は6,000~7,000件ほどでしかありません。当社は2024年の1年間で1,000件以上購入する予定ですが、その数で2番目、3番目の多さです。空き家を購入している会社のトップ10の購入件数を合計してもわずか2万件ほどしかないんです。つまり、「どう購入するか」「どう活用するか」次第で非常に大きなマーケットを開拓していける可能性があるのです。 現状、当社は購入した物件のほぼ全てを個人投資家に売却しています。個人投資家は利回りを重視するので、安価に仕入れることができる訳あり物件のニーズはとても高いです。そのため、個人投資家のネットワークを広げていくとともに、訳あり物件を対象とした不動産投資のノウハウを提供して個人投資家を増やしていくことを考えています。 さらに、売却するだけでなく自社で運営していくことも検討しています。そのためにも、各地に支社を置くことが重要になってくるんです。例えば、鹿児島の大隅半島にある物件を東京から管理するのは無理がありますからね。
その将来像を現実のものにするには、より一層問い合わせ件数を増やし、仕入れを拡充していく必要がありますね。
そのために、上場を目指しています。現在、オンライン上で流通している不動産情報というのは全体の1%ほどでしかないと思っています。不動産所有者が物件を売却しようと思った時、真っ先に思い浮かべるのは地元の不動産屋さんにお願いすることでしょう。こういったオフラインのやり取りが99%を占めています。 ここを掘り起こすには、Webマーケティングに磨きをかけていくだけでなく、所有者が物件の売却を考えた時、真っ先に思い浮かぶ存在にまで当社の認知度と信用を高めていくことが重要です。上場はそのための近道の一つですし、地元で当社の支店を目にすることも第一想起となる上で大切なことだと考えています。 また、上場によって資金調達できれば、物件の回転率を多少緩めることができるようになります。物件の自社運用を確立するためには、ある程度物件を保有しておける体力も必要になりますからね。
最後に応募者へのメッセージをお願いします。
当社の事業は、誰かを不幸にすることで成り立つというものではありません。空き家が売れず本当に困っている所有者から物件を買い取り、高利回りで利益を得たい個人投資家に売却する――このビジネスモデルは、社会問題化している空き家問題の解決にも貢献できるものでもあります。そこにやりがいを見出せる人であれば、充実感を得ながら仕事ができるのではないでしょうか。 それに、当社に集まっているメンバーは、いい人間ばかりです。優秀かどうかという話ではなくて、人としてまっとうなメンバーが多いという意味です。なので、いい雰囲気の職場でいい仕事がしたい人にはマッチすると思います。