日販テクシードの社長になるまでの経歴は?
新卒で外資系IT企業に入社し、メディア業界でエンジニアとして働き始めました。放送、出版、印刷、広告代理店がクライアント。その中で日販も担当することに。当時は日販がシステム化を進めて改革をしようとしていた頃で、日販担当のSEとして書店向けの受発注システム『PC-NOCS』の提案・設計等を担当。日販とはSEとして8年間仕事をしました。 その後、マネージャーになり、通信、流通等、メディア以外の業界も手掛けました。順調にキャリアアップを果たして、経営に近いポジションまで上りましたが、グローバル本社の意思決定に大きく左右される外資系企業でなく、自分で責任と権限を併せ持ち、中長期視点で意思決定できるポジションで働きたくなりました。 また、外資系は株主資本主義の経営。株主も大事ですが、もう少し社員やお客様の利益も考えて経営をしたいという気持ちがありました。日本の上場企業も株主資本主義が主流になりつつある昨今、次のステージを見据えて転職を考えていた時に、日販から前身の日販コンピュータテクノロジイの社長のオファーをもらいました。
日販テクシードの社長に就任したきっかけは?
次のステージで経営者になろうと考えた時、独立も頭にはありました。しかし、自分が何をしたくて経営者になろうとしているのか熟考した時、事業を起こすことが目的ではないことに気が付きました。 ステークホルダー資本主義を軸に会社を経営したいという意志を重視し、株主以外のステークホルダーも幸せになる会社を作り上げることをミッションに据えようと決めました。日販グループの経営陣がこのような考え方に共感してくれたことはとても嬉しかったです。 日販コンピュータテクノロジイに変革の必要性があったのも、オファーを受けて社長に就任した理由の一つ。IT企業として生き残るためには、日販グループ以外のクライアントとの仕事を増やさなければならない状況でした。出版業界が右肩下がりにある中で、日販グループ以外との取引を拡大して自立的に存続できる会社に脱皮する必要がありました。 他社との競争にも勝てる市場価値の高いIT企業に変革させていく仕事なら、独立系IT企業で培った私の経験も生かせるとオファーを受け入れました。
日販テクシードの社長になってどんな仕事をしてきましたか?
入社して最初の6カ月は副社長のポジションで、会社の全てを把握するところから始めました。社員と膝を突き合わせて、会社の現状にまつわる話を聞いて、変革するために必要なことを考え、どんな会社にするか練り上げていきました。ちょうど自社の将来像に関するグランドデザインを構築するタスクが社内で走っていました。そこで、自分が社長に就任するにあたって、会社の方向性を示す意味で創立記念日の全社員会で、作り上げた会社のグランドデザインを発表しました。 メインに据えたのは、個人ではなく組織で仕事ができるようにすることでした。日販に依存しないで自分達の市場価値を高めるには、自ら学ぶ姿勢でスキルアップを図る必要がありました。そのためには、個人のチャレンジを会社がサポートしなければならず、組織で仕事をできる仕組み作りを進めました。 社員が会社に隠れてチャレンジして失敗したら、どうすることもできません。会社がバックアップするには、情報をオープンにして組織的で仕事をする体制が不可欠でした。会社がプロジェクトのスタートからフィニッシュまでをサポートする「プログラムマネジメントシステム」と呼ぶ制度を立ち上げ、個人のチャレンジを会社の仕事にできるように環境を整えました。
人生を歩む上で大切にしていることは?
「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」という言葉を座右の銘にしています。受け入れがたいものでも起きてしまった事実はどうしようもありません。四の五の言っても始まらない。現実に対して「どうするか?」が大事。 昔は過去や他人に引きずられて考えてしまう癖がありましたが、考え方を変えてから合理的に仕事ができるようになりました。今でも「未来と自分は変えられる」という考え方が私の根幹にあります。 自分らしく振る舞うことも大切にしています。立場が上がってくると、それなりの振る舞いをしなければならないと思いがちです。さすがに社長になる時、最初は「社長らしい振る舞いをしなければ」とも思いましたが、考え方を改めて自分らしく振る舞っています。上手くいかないことがあっても、自分らしくやっていれば志を持って前に進もうとしている自分を信じることができます。 失敗は成功の母といいます。「べき」論で考えるのではなく、自分を起点に考えて行動していると結果はついてきます。
日販テクシードをどんな会社にしたいですか?
新しい事業を生み出して育んでいける会社にしたいです。チャレンジが成功してもそこで立ち止まるのではなく、また次のチャレンジをする。常に新しいことにチャレンジすることが習慣化され、スタイルとして身に付いている会社。持続的に成長する企業にとって一番重要な要素は変化に適応するための「チャレンジ」だと考えています。 どんな組織も多様性を失うと馬鹿になるといいます。当社も多様性を失わないように、色々な個性や経験を積んだ人材が広く集まってくれることを願っています。とにかく、社員にはチャレンジしてほしいと思っているため、負けず嫌いな人が最適かもしれません。 チャレンジすると、誰しも失敗します。しかし、失敗にめげずに「次こそは!」と立ち上げって前進する人と働きたいです。既存メンバーも負けず嫌いな人が多いです。わかりやすいギラギラした野望を全面に押し出した負けず嫌いというよりも、悔しさを内に秘めた静かな負けず嫌いな人達は、チームワークも優れているので、本当に頼もしい存在です。