起業前の経歴や創業時の想いを教えてください
もともとアーティストになりたかったので、東京藝術大学で建築を学びました。 ただ、方向性を色々と考えていた時に、30歳ぐらいの先輩らと飲む機会があって、『給料が20万円の大台に乗ったよ』という話を聞いたんです。 将来的に名声を得られたとしても、若いうちにある程度の収入がなければ生きていけないと思いました。アーティストの業界は、ただ収入が低いだけではなく、働く時間が途轍もなく長いんです。それでは自分がつぶれてしまうかもしれない。ならばアーティストが働き、学び、経験を重ねながら適正な収入を得られるマーケットを作るプロデューサーになりたいと、夢を方向転換したのです」
どんな人と一緒に働きたいと思いますか。また、目指す組織の姿について教えてください。
採用するなら、まず相性が合う人、友だちになれそうな人を、というのが僕の考えです。例をあげるとするなら、ムーミン谷の詩人であるスナフキンです。彼は人気者ですが、自由を愛する旅人ゆえに仕事はしていなさそうに見えますから普通の会社なら採用しない人材でしょう。でも、毎朝スナフキンが皆を元気づける一言を書いて、皆のやる気が10%上がるとしたらどうでしょうか。社員が50人いたら、スナフキンの仕事量は5人分にも相当しますよね。たとえ仕事ができたとしても皆にストレスを与え、全員の能力を10%下げる人材よりも、スナフキンのような人材のほうが価値が高いと思っているんです。 全員がスナフキンになってしまうと困るかもしれませんが(笑) でも、困った人がいるときに助け合う気持ちが自然と生まれるような組織にしたいと思っています。たとえば、当社が大事にしている考えの一つに『COMPASSION』があります。 社会人である前に一人の人間ですから、多様性を認めて互いに敬意と思いやりを持つことが大切だと考えているんです。社員みんなが人としてどうありたいかを考え、成長していってもらうことが理想です。また、企業風土としてはフラットさを大切にしています。経営の執行上はピラミッド型で、もちろんルールもありますが、その中で僕はたまたま代表の役割であるだけで、精神的な立場は他の社員と一緒だと思っています。