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インタビュー画像株式会社TRUSTDOCK CTO 荘野 和也 2007年にマークアップエンジニアとして株式会社ガイアックスへ入社。2009年に Webエンジニアに転向し、主に社内システムの開発に従事した後、インフラチームで各事業のインフラ基盤を支えた。 2015年からシステム障害の対応に特化したインシデント管理ツール「Reactio」の新規開発に取り組む。 2016年に創業期のTRUSTDOCKにテックリードとして参画、2019年7月にCTOに就任。「本人確認APIプラットフォーム」やeKYCに対応した「身分証カメラアプリ」の開発及び統括、技術の責任者としてプロダクト戦略の策定に携わる。

TRUSTDOCKへ入社し、CTOになったきっかけは何でしょうか?

TRUSTDOCKでは、プロダクト開発の初期フェーズからテックリードとして参画し、技術選定から担当しました。その時のエンジニアは私を含めて2名で、どちらもRubyエンジニアです。また、スタートアップとしてスピードを重視した開発を行えることを重要視し、Ruby on Railsをフレームワークとして選定しました。 当時TRUSTDOCKは、刻々と変化するeKYC市場と最新技術に向き合いながら技術選定やUI/UXについて推進するCTOが必要になるという局面を迎えていて、役員陣と話して私がCTOになりました。 「(特別なことをせず)普通のことを最高レベルに」を方針に、コードの品質について死守している点は、一番大事にしていることです。自動テストのコードカバレッジは98.5%、定期の脆弱性診断やペネトレーションテストにも耐えられる安全なコード、週次デプロイ(年間デプロイ回数79回)などがそれを表しているかと思います。 最近はAPI version 2の開発やWEBカメラの実装などを追加しました。「どの業界のどのユースケースにも、標準的なAPIの組み合わせとさまざまな提出手法で対応できる本人確認システム」を体現してきたと思っています。

どんなエンジニアチームをつくっていますか?

具体的にCTOとしてチームビルディングするに当たり、主に「変更可能性に強い開発・設計」「標準化された技術の利用」「セキュリティーへの配慮」の3つを大切にするよう心がけるようになりました。 機能開発の要望があった特定のお客様や業界の課題を解決する機能ではなく、その先のすべてのお客様に対し有益な機能であるかという観点で開発を進めるように心がけています。 セキュリティーもとても大切な価値です。私たちが取り扱うデータは、個人情報など非常に大切なデータです。保管する事業者様にとっても、情報を提供する個人にとっても、センシティブなデータと言えます。重要なデータをセキュアに保つ。これはエンジニアチームが重視していることです。 テックリードやCTOとして活躍できる力を持ったメンバーが、それぞれが出来ることを増やしていくための体制や仕組みをいかにつくるかを考えてチームをつくっています。書いたコードを、チーム全体で見せ合いながらプロダクトをつくり上げています。 もう私ひとりで何とかできる段階を超えていますしね。それに、弊社のエンジニアのメンバーはひとりひとりがテックリードやCTOとして活躍できる力を持っています。私が引っ張るよりも、それぞれの力を発揮できるチームにした方が、「標準化」や「セキュリティー」といった高い付加価値のプロダクトをつくれると考えています。

今後の重点施策は何ですか?

今後は今よりもさらに多くの企業様に、安定してサービスを提供できるようプロダクトの改善を行います。パフォーマンスチューニングや設計改善など根本的な問題を解決していきます。E2Eテストの自動化は注力施策であり、成果が出せたこともあって今後も引き続き進めていきたいですね。 このきっかけは、単体テストだけでは気づけない問題を発見したことです。普段から100%に近いカバレッジで自動テストを書いているのですが、機能開発を進めている中で、Webhookの内容が不整合なものとなってしまういくつかの不具合を発見しました。その点では、デプロイ作業を行う際に実際にプロダクション環境での動作確認を手動で行っていました。ボトルネックは手動対応のコストと複数の本人確認プロセスへの網羅性だったんです。 これもチームで知恵を出し合える体制に移行できた成果ですね。問題解決としては、複数の本人確認プロセスへのE2Eテストを自動化し、常に正しい内容であることを網羅できている状態にしました。実装に2ヶ月かかる大規模な実装となりましたが、このツールのおかげで実装の不備が発生してしまいそうなコードに事前に気づくことができるようになっています。

どんなエンジニアが集まっていますか?

キャッチアップできていなかった領域を一手に引き受けてくれる方ばかりです。ひとりの熟練されたエンジニアで何とかできる課題ではなく、CTOクラスが集まって挑戦して手が届くかどうかの目標を追いかけています。 まず保屋野さんです。保屋野さんがご入社されたことで、開発チーム全体の技術スキルが一段底上げされたと感じています。開発での議論も活発になり、チーム全体で技術に対して切磋琢磨できる状態が生まれました。 保屋野さんはビジネスロジックの設計・実装に強みを持ち、プロダクト開発をリードする立場での経験を積んできた方で、課題が発生した時にもチームを解決へ導いてくれることが多かったです。私としても、保屋野さんと一緒に仕事をすることでたくさんの学びを受けて成長することができ、とても感謝しています。 逆に、こちらからも保屋野さんに対して何かお返しすることができていたら嬉しいですし、共に高め合っていければと思っています。 自ら率先して解決に導いてくれるメンバーで言うと、五島さんもです。五島さんも今まで培われてきた経験でチームをリードしてくれています。特にインフラ面の知識・スキルがとても頼もしいです。私もインフラの領域を進める上で、五島さんに壁打ちしてもらうことでより最適な解へ辿り着くばかりでした。もう一人体制には戻れません(笑)。 プロダクト開発の運用でも、五島さんがいてくれるからこそ坪井さんも本領を発揮できる状態となっています。チームの良い相乗効果が生まれています。チームに良い循環が生まれていると感じます。 メンバーとのディスカッションは発見ばかりです。発見でいうと、TJさんとフロントエンド周りの話をすることができて、とても楽しかったです。私が個人的に好きな領域ということもあります(笑)。 TJさんにはフロントエンドのスペシャリストとして活躍いただいています。これまでもサーバーサイドチームのメンバーが、フロントエンド周りをの開発を進めていくことはできてはいました。でも、やはりノウハウや知識が不足している中で開発を進めていく不安は一定ありました。実際に設計や実装で悩みが出てきていた面もあったんです。待望のスペシャリストでした。 JavaScriptで実装したTRUSTDOCKアップローダーの開発が安定したし、安心してフロントエンドの開発に取り組むことができるようになりました。TJさんがJOINして1番の変化です。

TRUSTDOCKが目指している先を教えてください。

TRUSTDOCKのeKYCプロダクトを「社会インフラ」にしたいと考えています。 社会インフラの例としてSuicaがあります。もとは交通インフラだったところから、今では電子マネーとして社会インフラにまで成長しているプロダクトです。一日4,000万件もの処理があり、1件当たりの処理は0.1秒以内に完了しますし、今までで大規模な障害が起きたことがありません。ユーザー層も幅広く、今や若者からご高齢の方までSuicaを使って生活しています。これはUI/UXが非常に優れていることの証明だと思います。 Suicaの例から、社会インフラとなるには、「1.利便性(誰でも扱えて便利である)」「2.正確」「3.即座に行える」の3つの条件を満たす必要があると考えています。 本人確認も、圧倒的なトランザクションがありますし、その上でエラーが起きてはなりません。そして、年齢やITリテラシーに関わらず、どのユーザーにとっても便利で簡単に行える必要があります。 日本のeKYCは、海外のeKYCと比較してもまだまだ過渡期でもっと便利な世の中にできる市場です。数年後Suicaのように誰にでも使ってもらえる社会インフラを作ること。これが目標です。

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